命あるもの、

いつか必ずお別れは来るものと分かっていますが

いつもの笑顔で

きっとまた

調律にいらしてくださると

信じておりました。

25年余りもの長い間、

大変お世話になりました。

「大丈夫。よく響いてる。

トイ!トイ!トイ!」

と背中を叩いて

ステージに送り出して頂き

どれほどに安心感を頂いたことでしょう。

瀬川さんの一言に励まされ、

教えられたことは

ピアノのことに留まりません。

カッコ良い方でした。

アツくて、お優しくて、

紳士で、チャーミングで。

音楽談義のみならず

ワンコの話、

食の話。

そして

ミケランジェリやリヒテルを始めとする

世界中のピアニストとのエピソード。

華々しいご活躍のご経験を

惜しみなく伝え教えて下さいました。

ワクワクしました。

昨年Steinway の中古を探し始めた時、

コレは!と思うものが出てきたら

一緒に行ってみてあげる、と

これ以上ない心強い一言を頂き、

お言葉に甘えてご同行頂いた折には

行く先々で現場の調律の方々が

瀬川さんの一言一言に

じっと耳を傾けていらっしゃいました。

最後にお目にかかった今年の2月、

ドイツにもう一度住みたい

と仰っていました。

力強く、笑顔で

会いたいご友人が沢山いるんだ!と。

今頃はドイツやフランス、世界中を飛び回り、

ミケ先生やリヒテル先生にも

お目にかかっておいででしょうか。

訃報が届いた日は

時が止まりましたが、

前を向かなければ笑顔で叱られそうです。

先程お通夜に伺い

また背中を押して頂いたような気がいたしました。

深い感謝とともに

御冥福をお祈り申し上げます。